知る・楽しむ
種類と栽培方法
わさびは大きく、本わさびと西洋わさびの2種類に分けられます。お寿司やお刺身などの和食だけでなく、西洋料理にも使われるわさび。その特徴について、ご説明します。
わさびの種類
本わさび栽培方法によって、沢わさびと畑わさびに分類されます。
沢わさび
日本原産の香辛野草のわさびは、アブラナ科に属する常緑、多年生、宿根性の植物です。沢わさびは深山のきれいな冷水の流れる谷あいに自生し、栽培も同様な条件の場所で行なわれています。わさびには夏は16℃以下、冬でも10℃以上の豊富な湧水があり、周辺には落葉樹林が茂り、夏は樹陰で湧出した樹林の間から太陽の暖かい日差しを受ける場所が最適地とされています。
畑わさび
わさびの種子をそのまま土(畑)に蒔いて栽培したわさびを「畑わさび」と呼んでいます。主に茎の収穫を目的に栽培されており、長野県、島根県、山口県、東京都下で温室を利用した促成栽培が行われています。また、台湾やインドネシア、カナダなどでも増栽培するようになっています。大半がわさび漬けや練りわさびなどの加工用として、使用されています。
西洋わさび英語ではホースラディッシュと呼ばれます。
日本ではわさび大根とも言われます。西洋わさびはヨーロッパ北部で栽培されている多年生の植物で、英語ではホースラディッシュ(horseradish)、フランスではレホール(Raifort)と呼ばれており、本わさびと同じように辛味があるので香辛料として使用されています。根茎をスライスして肉料理の付け合せにしたり、ソースにおろしこんで魚料理にも使います。ヨーロッパでは中世以降、防腐剤や食欲増進などの薬用としても利用されてきました。 現在では、乾燥させた後、粉わさびの主原料として使われ、その大半を中国からの輸入で賄っています。
栽培方法
本わさびの栽培方法にはいくつかの方法があり、各地の地域性と密着しています。ここでは、主な栽培方法とその特徴をご紹介します。
①畳石式
- 主栽培地域
- 伊豆天城地方
- 栽培期間
- 1.5~2年
- 特徴
- 豊富な水量が必要で、傾斜地を段々畑にして栽培する。
②渓流式
- 主栽培地域
- 島根・鳥取等の中国山系地方
- 栽培期間
- 2.5~3年
- 特徴
- 自然の渓流に砂を敷いて田を作り、大きな石で苗を押さえて栽培する。
③地沢式
- 主栽培地域
- 多摩・安倍川上流地方
- 栽培期間
- 1.5~2年
- 特徴
- 渓流式を改良し、畳石式のようにわさび田を作って栽培する。
少ない湧き水での栽培が可能。
④平地式
- 主栽培地域
- 穂高・安曇野地方
- 栽培期間
- 1~2年
- 特徴
- 平坦地を1~2m掘り下げ、畦を作って植え付けて栽培する。
川床や河川敷の下を流れる伏流水を利用。