知る・楽しむ

わさびの科学

わさびは何故辛いのでしょうか?また、近年話題のわさびの抗菌作用は何に由来されるのでしょうか?
わさびの科学を探ってみましょう。

辛味成分

~すりおろすことによって辛くなる、わさびの秘密~

わさびは日本特有のスパイスです。この特有の香りと辛味が遠い先祖の時代から利用され、とくにお刺身や寿司、そばの薬味として、なくてはならない存在となりました。
わさびの辛味成分は何なのでしょうか?わさびの根茎をかじっても辛味は全くありません。わずかな苦味を感じるだけです。しかし、少し咀嚼していると辛味が出て、ツーンと鼻に抜けます。
わさびの辛味成分は、わさびの細胞内にブドウ糖とからし油が結合した配糖体であるシニグリンという形で入っています。
シニグリンは根茎のままの状態では辛くありませんが、すりおろすことにより組織の中に存在するミロシナーゼという酵素が働いて、加水分解という化学反応をおこしてアリルからし油が生成され辛くなるのです。このアリルからし油は揮発性のため、鼻にツーンとくる強烈な辛味を持っています。この辛味がわさびの身上でもあるのです。

抗菌効果

~先人たちの生活の知恵~

先人たちは魚介類を刺身として食する際に、わさびをすって使用する習慣を身につけました。その理由は、魚介類の生臭さを消すためだったと考えられます。アリルからし油には生臭さを消去する効果があるのです。
科学的には、魚介類の生臭さの成分であるアミン類とアリルからし油が反応して、アミンでない他の化合物にしてしまうことによって、生臭さが消えてしまうというわけです。またアリルからし油には細菌類の発育、増殖を抑制する抗菌作用があることがわかっています。寿司のシャリとネタの間にわさびをはさむようになったのも先人たちの生活の知恵で、食中毒予防だったとも考えられます。
ここ数年騒がれている病原性大腸菌O-157にも、このアリルからし油の抗菌性が効果を発揮することがわかっています。又、その他の新たな効能も見出されており、様々な抗菌、消臭グッズなども出ています。